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(一社)東京都金属プレス工業会における「EDI研修+EDI導入実証検証」事業(詳細報告)

~現場に即した実証で見えたDX推進の実践知と共通EDIの有効性~

ITコーディネータ協会は、令和7年度、東京都中小企業団体中央会の特別支援事業として、一般社団法人東京都金属プレス工業会(TMSA)会員企業を対象に、「EDI研修+EDI導入実証検証」事業を実施しました。

本稿では、会員ITコーディネータの皆様に向けて、本事業で得られた実践的な知見・具体的成果・現場のリアルな課題を中心に報告します。


■事業の特徴:人材育成と業務変革を一体で推進

本事業の最大の特徴は、

  • 研修(知識習得)

  • 実証(業務適用)

を分離せず、一体的に実施した点にあります。

単なるITツール導入支援ではなく、

  • 自社の業務課題を可視化

  • 他社との比較・議論

  • 実務での適用と効果検証

まで踏み込むことで、「理解 → 納得 → 実践」への転換を実現しました。


■EDI研修における学習変化(実務視点)

研修では「気付きシート」を活用し、受講者の思考変化を段階的に引き上げました。

●課題認識の深化プロセス

  1. 第1段階(作業レベル)

     紙・FAX・手入力による非効率・ミスの認識

  2. 第2段階(業務レベル)

     業務の重複・属人化・プロセス不整合の認識

  3. 第3段階(経営レベル)

     ビジョン不足・標準化未整備・組織課題の認識

結果として、受講者は

DX=IT導入ではなく「業務と組織の変革」という本質的理解に到達しました。 


■実証検証の概要とアプローチ

実証検証では、発注企業と受注企業のペアによる現場検証を実施しました。

●実施体制

  • 2グループ構成(発注-受注)

  • ITコーディネータによる伴走支援

  • 全工程リモート実施(ヒアリング~報告)

●進め方

  1. 現状分析(業務フロー・課題抽出)

  2. 導入検討(EDI適用設計)

  3. 試行導入(ツール設定・連携)

  4. 実務検証(作業時間・精度)

  5. まとめ(改善方向提示)


■事例①:発注側A社 ×受注側B社

●現状課題(典型的な中小製造業の実態)

  • 取引先ごとに異なる注文形式(EDI/PDF/Excel/FAX)

  • データ受信後の手入力・転記作業

  • 基幹システムの老朽化

  • 紙帳票運用の継続

受注側では、

  • EDIデータを再入力

  • 納品書は紙で押印・郵送

といった、**「デジタルと紙が混在する非効率状態」**が確認されました。 

●実証結果(定量効果)

共通EDI(グローバルワイズ社:EcoChange)を活用した結果:

  • 月間作業時間:

     89時間 → 69時間(単純置換) → 40時間(業務見直し後)

  • 削減率:約48%改善

ツール導入だけでなく業務改革を伴うことで効果が倍増することが明確になりました。 

●現場評価(生の声)

メリット

  • 入力・転記削減

  • 画面操作性向上

  • ペーパーレス化の可能性

課題

  • 取引先のEDI対応状況に依存

  • 多様な業務(分納など)への適応

  • 既存システムとの連携設計

●ITC視点の示唆

  • 「EDI導入」単体では不十分

  • 基幹システム刷新とセットでの再設計が重要

  • サプライチェーン全体最適視点が不可欠


■事例②:発注側C社

●現状課題

  • 注文書を印刷 → コピー → FAX/メール送付

  • 帳票フォーマットが取引先ごとに異なる

  • Web-EDI複数対応による個別運用

「電子化しているようで実は非効率」な状態が典型例として確認されました。 

●実証結果(インパクト大)

年間18,000件の注文処理において:

  • 発注作業:

     61.6時間 → 0.3時間

  • 保管作業:

     8.4時間 → 0時間

  • 納期回答:

     4.0時間 → 0.3時間

👉 合計74時間 → 0.6時間(約99%削減)

非常に大きな効率化効果が確認されました。 

●費用対効果

  • 初年度:コスト増あり

  • 次年度以降:コスト削減

短期ではコスト増でも、中長期で回収可能な構造

●現場の重要な気づき

  • 「覚えれば簡単で楽になる」

  • 「自社業務の整理が先」

  • 「相手(取引先)をどう巻き込むかが鍵」


■本事業から得られた実践的示唆

① DXは「業務設計」が成否を分ける

EDIはあくまで手段。

  • 業務標準化

  • データ設計

  • システム連携

を含めた全体設計力がITCに求められる

② ボトルネックは「取引先」

  • 未デジタル企業の存在

  • FAX文化

  • ITリテラシー格差

👉 段階的導入(スモールスタート)戦略が有効

③ 業界団体の役割が極めて重要

今回の特徴は

  • 業界共通EDI

  • 標準化志向

👉 個社最適ではなく**「業界単位でのDX推進モデル」**の有効性が確認された点

④ 人材育成と実証のセットが成功要因

  • 研修だけでは定着しない

  • 実証だけでは理解が浅い

👉 教育+実践=DX実現の王道モデル


■今後の展開

本事業を通じて、東京都金属プレス工業会は

  • 共通EDI普及拠点

  • 業界DXモデルケース

となる可能性が示されました。

今後は

  • 適用企業の拡大

  • 対象業務(請求・支払等)の拡張

  • 業界全体への標準化展開

が期待されます。


■ITコーディネータへのメッセージ

本事業は、ITコーディネータが

  • 業務改革の伴走者

  • サプライチェーン全体の設計者

として価値を発揮できる領域を示しました。

特に共通EDIは、**「中小企業DXの現実解」かつ「ITCの中核テーマ」**になり得る分野です。

ITコーディネータ(共通EDI推進サポータ)の皆様におかれましては、本事例を参考に、各地域・業界でのDX推進にぜひご活用ください。



 
 
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